レポート:ツジゴウマユミ
■草原の椅子
2月16日T-JOY博多で行なわれた、
2月23日(土)公開『草原の椅子』のキャストも登壇する試写会へ。
当日はメインキャストの佐藤浩市さん、西村雅彦さん、福岡出身の吉瀬美智子さん、『八日目の蝉』や『孤高のメス』の監督も務めた成島出(なるしまいずる)監督の四人が来福。
質問の中で福岡出身の吉瀬さんが朝倉市のご出身だと
吉瀬:福岡福岡って言ってますけど福岡の外れで、皆さんは知ってると思いますが、朝倉市。すごく田舎なんですよ(笑)。この映画のパキスタンのフンザの景色をものすごぉ~くミニチュアにしたような(笑)。山と海に囲まれて、川が流れる良い街です。
この映画では後半、4人でフンザへ旅をするわけですが、もう一人のキーパーソン!ハミングピッグ的にはほっとけない4歳の新人、喜多川圭輔役:貞光奏風(さだみつかなた)くん。もう彼の表情、動き、中盤まではひとつひとつが切なくてお母さんは観てられない!
余談ですが、映画を観終わった後、同じウチの4歳の息子をギューッっと抱きしめました。その母親役の小池栄子さんの凄まじさは圧巻。
そんな圭輔くんとのシーンについて佐藤浩市さんは
佐藤:実際演技経験がほぼない4歳のコだったんですが、監督はそれが狙いでオーディションで選んだんですけど、そのコはここで芝居をするということに何の利害もないわけで、だったら「なぜやらなきゃいけないんだ」という、自我というか、反発心から言われたことと逆のことをやるんですね。ちゃんと立ってろというとフニャフニャするし、そこを見ろというと見ないし(笑)。つまり彼は「俺はなぜそれをやんなきゃいけないんだ?」って心の叫びが聞こえてくるわけですよ(笑)。「おい、勘弁してくれ(笑)」と思いながらも、そんな彼と四六時中一緒にいて、不思議なもので一緒にいると情が湧くんです。そうすると、子役と、役者として30年やってきた自分がいるんだけど、そこで対峙してる役というだけじゃなく、なんかこう…、不思議な感覚みたいなものが湧いてきて、最後に我々は旅に立つんだけど、そのときに彼の前でやった感情表現というのは、多分「このコが作ってくれたんだろうな」「芽生えさせてくれたんだろうな」という意味では、今では大変感謝しています。素直に実感としてそう思いますね。
コメント
佐藤浩市 (遠間憲太郎 役)
50歳の男の人生を生きてそれなりの経験をしていろんなことがわかったつもりが、案外わかってなかったこともいっぱい。そんなことをいきなり娘から叩きつけられたり、普段では出会うことのなかったであろう、灯油をぶっかけられた取引先の男が親友になってくれと言ってくるし、和装の美人が雨の中立ってて、それをタクシーの車窓から見て、何となくタクシーを止めて降りちゃう…(笑)、そういうかわいらしい下心とか。人は一生懸命生きてると滑稽なもので、それをクスクスと笑いながら、なんとなく、「あれ、ちょっと俺に似てるな」とか、「うちのお父さんに似てる」とか、そういう風に観てもらえる人物を作りたいと思いました。
西村雅彦 (富樫重蔵 役)
富樫の実家の島で自分の両親と話をするシーンが出てくるんですが、とてもしみじみとしていまして、のどかな島で暮らす人たちの空気というのを心地よく観ていただけると思います。
きっと作品を観ていただくと、とても身近に感じていただけると思います。そこから何らかの感情が生まれてきて、なんだかいつの間にか自分も最後、4人が降り立つフンザの地に立ってもらえると思います。
吉瀬美智子 (篠原貴志子 役)
今日はホントにたくさんの方にお越しいただきまして、とてもうれしく思っています。私自身も福岡出身ですので、福岡の方にたくさん観ていただきたいと思いますし、また、観終わった後、たくさんの方に感想を伝えていただけたらと思っています。
成島出 監督
宮本輝先生の同名小説を読んで僕が(映画で)やろうと思ったのは、悲しいこと、嬉しいこと、楽しいこと、辛いことをひとつずつ丁寧に重ねていくと最後に幸福の連鎖が起こってくる。ちょっとした小さい奇跡の、幸福の連鎖が起こるんです。そこが映画にしたいと思った理由ですね。ですから観てくださったお客様がその幸福の連鎖の中に…、草原へ行く旅へ劇場でご一緒してくだされば作った側としてこんなに嬉しいことはないです。タイトルの『草原の椅子』の意味は映画を観て、みなさんが感じとっていただければいいと思いますが、大草原にみなさんと一緒に行けたなら嬉しく思います。
西村雅彦さんのサービス精神満点のトーク、ため息が出るほど美しい吉瀬美智子さん、ダンディな成島監督、そして穏やかななか、チラッと見せる笑顔がたまらない佐藤浩市さんによる終始和やかな雰囲気の舞台挨拶の最後に佐藤浩市さんより
佐藤:撮影がクランクインする前に何日もかけて稽古をやりました。日本での部分を「あぁでもない、こうでもない」と散々やって、最後にフンザでのロケだったんですが、あまり細かいことはなしで、監督から「実感として演ってほしい」と、我々もその通りにしました。説教臭くもなく、押しつけがましいこともない映画になったと思います。そして必ず皆さんが何か持って帰れる映画になったと思っています。
STORY:バツイチで、年頃の娘と二人暮らしの遠間憲太郎に、50歳を過ぎて三つの運命的な 出会いが訪れる。 ひとつは、取引先の社長・富樫に懇願され、いい年になってから親友として付き合い 始めたこと。 もうひとつは、ふと目に留まった独り身の女性・貴志子の、憂いを湛えた容貌に惹かれ、淡い想いを寄せるようになったこと。 3つめは、親に見離された幼子、圭輔の面倒をみるようになったこと。 憲太郎、富樫、貴志子の3人は、いつしか同じ時間を過ごすようになり、交流を深め ていく中で、圭輔の将来を案じ始める。
年を重ねながら心のどこかに傷を抱えてきた大人たち。 そして、幼いにも関わらず深く傷ついてしまった少年。 めぐり逢った4人は、ある日、異国への旅立ちを決意する。 そして、世界最後の桃源郷・フンザを訪れたとき、貴志子が憲太郎に告げる。 「遠間さんが父親になって、私が母親になれば、あの子と暮らせるんですよね」
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『草原の椅子』 2月23日(土)公開
http://www.sougennoisu.jp/
監督: 成島出
原作: 宮本輝
脚本: 加藤正人/奥寺佐渡子/多和田久美
撮影監督: 長沼六男
主題歌: 『真昼の月の静けさに』GLAY
キャスト:佐藤浩市/西村雅彦/吉瀬美智子/
小池栄子/AKIRA/黒木華/貞光奏風/中村靖日/
若村麻由美/井川比佐志 ほか
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