日本全国津々浦々、楽しくも、心地良い音楽時間を届けてくれるモアリズム。
ひと癖もふた癖もありそう(!?)な音楽家たちの子ども時代の話とともに、
今、大注目の西川美和監督作品『夢売るふたり(主演:松たか子、阿部サダヲ)』、
『ディア・ドクター(主演:笑福亭鶴瓶)』、『ゆれる(主演:香川照之、オダギリジョー)』他への
映画楽曲裏話などなど、三人のお人柄満載のインタビュー。
東京郊外国立市を拠点とし、
全国を放浪しつづける日本語リズム&ブルースの決定版!
主に作詞作曲を担当するナカムラは、現在では珍しくなくなった
日本語詞とルーツ系ブラック・ミュージックとの融合における先駆者的存在。
そのフィールドは、LiveHouse、野外フェス、BAR、Cafe、病院、
倉庫、幼稚園、ひとんち、と時も場所も選ばない。
また、
ナカムラに続きアントニオ佐々木、清水エスパー光一も
ソロアルバム・リリースと個々でも精力的な活動を展開している。
【大人っていいなぁ~】
―小さいころはどんな遊びに夢中でしたか?
ナカムラ:僕は熊本のとにかく田舎の出身なんですけど、熊本ってメンコのことを『パンパン』って言うんです。夢中で『パンパン』をやってましたねぇ~。あとビー玉や駒回し、凧揚げね。熊本って独特の駒があるんですよ。多分知らないと思うんですが、そのケンカ駒をやってましたね。
―昔ながらの日本の遊びですね。
ナカムラ:そう、もう江戸時代と変わんないですよ(笑)、それと夏場は虫取り。
佐々木:夏場は唇が紫色になるまで川遊びね。
ナカムラ:絶対紫色になりよったねぇ~(笑)。
佐々木:あと僕は草野球ですね、野球全盛期ですよ、王、長嶋ね。
―その黄金期ド真ん中なんですね。 清水さんは東京出身。
清水:多少は街中だったんで、そこまで山とか川は付近にはなかったんで…。よく、じゃんけんで勝った順に人の家の前に並んで順番にピンポンダッシュするっていう。
―ダメなやつじゃないですか(笑)。
ナカムラ:悪質だよね(笑)。
清水:ホント、悪質なやつですね(笑)。
―遊びのレベルが違いますよね。
清水:とはいえ郊外の多摩地区という所で、昔は自然がいっぱいでした。
―今思い返してみて、子どものころにやっておけばよかったと思うことは?
ナカムラ:なんかもういろんなことを思いっきりやってたなぁ…、っていうか早く大人になりたかったですね、僕は。なんか子どもってつまんないなぁ~って思ってたから。
―大人びた子どもですね。
ナカムラ:そうですね。「子どもは早く寝ろ」って言われるじゃないですか、きっと子どもが寝た後の大人は楽しいんだろうなって思ってたんですよ。僕が子どものころ、僕の身の回りの大人はすごく楽しそうに見えてたんです。地元は農家をやってる人が多くて、割とどこのおじさんもおっかなくて、みんな強そうで威厳があって、どちらかというと頭ごなしに叱ってくるような人が周りにいたから、なんか「大人はいいなぁ~」って思ってました。
―よそのおじさんとかからも叱られたり?
ナカムラ:しょっちゅうですよ。「ナカムラん家のコだろう」って(笑)。顔でわかるんですよ、父ちゃんとそっくり(笑)。
佐々木:僕は勉強かな。大学行ってキャンパスライフとか(笑)。
清水:それ勉強じゃないっす(笑)。
佐々木:サークルね(笑)。
ナカムラ:そうね、サークルとか意味わからんもんね。
佐々木:わからん。ミステリーサークルやね(笑)。
清水:大学生の遊びとかわかんないよね。
佐々木:経験したことないからね、そんなのやってたら少しは人生変わってたかも(笑)。
清水:ウチは実家が音楽一家で、周りにはピアノの先生やエンジニアなんかがたくさんいだたんですが、僕は小さいころ音楽に一切興味を持たなかったので、今思えばホントにもったいなかったでね、「早くやっとけばよかったな」って今は思えます。
ナカムラ:そういうことならもっと素直になっていればよかったという部分はありますね。そうすればもっとマシな人生だったんじゃないかって思います(笑)。
―じゃあ音楽以外のことは何を?
清水:父親はぼくをピアニストにしたかったみたいで、ずっとピアノを習わせようとしてたんですけど一切やらなかったんです。小学生からずっとサッカーに夢中だったから、音楽に興味を持ったのは高校のときで、ある日突然自宅のピアノを弾きたくなって弾いてみたらみんなびっくりしてましたけど。それからですね。
―最初に何を弾いたか覚えてますか?
清水:即興ですね。
佐々木:最初からね(笑)。
清水:最初からですね(笑)。そういう意味ではピアノをベースより先に始めました。
【途中で気が付きました、お金がかかってるやつだって(笑)】
映画「夢売るふたり」オリジナル・サウンドトラック
品番:DQC-936 / 発売:2012/08/22 / 収録曲:11曲 / 価格:1.500円(税込)
―福岡でも今年9月に公開になった映画『夢売るふたり(主演:松たか子、阿部サダヲ)』などを手掛けている西川美和監督作品に、モアリズム(exカリフラワーズ)の音は欠かせないものになっていますが、監督との出会いとは?
ナカムラ:偶然に仙台で会ったんです。たまたま監督の取材対象の方が仙台に住んでらして、その方がたまたまバンドマンで、たまたまライヴを観に来られて、その日のライヴの最後がたまたま東京から行ってた僕らで、それを観た監督が僕らの音楽の幅の広さに「たぶん映画音楽に向いてるだろうなぁ…」って思ってくださったみたいで、そのライヴの打ち上げのときに当時監督は25~26歳くらいだったのかな、「もしかしたら私が映画を撮ることになるかもしれないんですけど、もし映画を撮ることがあったら音楽をやってもらえませんか?」って。
清水:そうでしたね。
ナカムラ:すごく可愛らしい顔をしてるし、すごく若く見えたんで、学生の自主制作映画かなんかだと思って、「お、いいよ」って軽く受けてたら、宮迫(博之)さん主演の映画っていうことで(『蛇イチゴ』)、「あれ?本気のやつ??」って。途中で気が付きました、お金がかかってるやつだって(笑)。
―聞くところによると、西川監督は音にとてもこだわりを持ってらっしゃると。
ナカムラ:僕らの録音現場に監督がいらっしゃるんですよ。監督自らビデオのスイッチを押して、その後ろで僕らが演奏する。映像に合わせてフェードアウトも自分たちでやってるんで、音を一切切らないんです。
―ん?録音現場で生演奏してる?
ナカムラ:そうです。その場面でしか通用しない音楽なんですよ。
―え、じゃあ既成の音があるんじゃなく?
ナカムラ:できあがってる音を切ったり貼ったりする訳じゃないんです。だから、だいたいテイク1で音が決まるんです。監督がポチッと(スイッチを)押して、振り返って「いいですねぇ~」っていう。だったらそのテイクはOK。だから編集前から細かく細かく決めてるんです。
―生演奏の音が映画にのってるってことですよね。
ナカムラ:そうです。今では非常に珍しいそうですけど。
―凝った作りですね。そんな映画音楽の付け方聞いたことないです。
ナカムラ:って、おっしゃいますね、映画関係の方も。とにかく周りは西川監督はうるさい方だっておっしゃいます。ついてないんでしょうね、僕ら(笑)。
―西川監督映画の観方がさらに面白くなります。
ナカムラ:それを言うなら映画の中で、若者が絶対来ないような居酒屋のシーンでムード歌謡の『セニョリータ』って歌が流れてるんですけど、そんなBGMみたいなものも含め、全部作ってます、無駄に(笑)。♪夜のとばりにぃ~♪みたいな(笑)。そしたら、編集を日活の撮影所でやってたんですけど、そこのスタッフの方が「素晴らしいっ!」って言ってくれて、「これは日本の70年代の昭和歌謡界としか思えないくらいクオリティがハンパない!」ってことで、フリーでいつでも使えるようにとその曲、日活にあげてきました。
―他の映画で流れるかも!?
ナカムラ:そう、使われるかもしれない(笑)。何がリアルか考えながら、そういうBGMを作ったり、普段やらないことをやるのも楽しいですね。
佐々木:ライヴでもたまに演るといちばん盛り上がります(笑)。
【はじめてです】
―福岡には何度もライヴでお越しだと思いますが、日本全国廻ってらっしゃって、福岡のお客さんはどんなタイプだと思いますか?
清水:福岡のお客さんは品が良いかなぁ~、可愛いコが多いですね。
ナカムラ:福岡と熊本は可愛いコが多いっていうのは、バンド業界で有名ですよ、女性がキレイだって。
清水:九州は女性が本当にキレイですよね。
ナカムラ:福岡が地元っていう人だけじゃないんでしょうけどね。
―日本各地、お客さんの雰囲気って違いますか?
ナカムラ:全然違いますよ。同じ県の中でも違います。福岡でも筑豊と博多、北九州もまったく違うじゃないですか、ノリっていうんですか?それと同じで他の県も面白いですよ。熊本だったら人吉と山鹿じゃ全然違う。言葉も違いますし、同じ九州とはいえ全部が違います。福岡は九州の中じゃいちばん都会的かな、ライヴを観慣れてますね。やっぱりたくさんライヴを観てらっしゃるという感じはするかなぁ~。
清水:全国的にみても福岡のお客さんはどこよりもライヴを見慣れてる感じがしますよ、生のライヴに慣れてる感じがします。
―ライヴに慣れてない所に行ったりもするんですよね。
ナカムラ:農協の前に、画用紙の回りにキラキラが付けたような紙で「モ・ア・リ・ズ・ム」ってデコレーションしてあったり(笑)。すっごい嬉しいですね(笑)。それは涙出そうになっちゃいましたけど。
―そういうのステキですね
ナカムラ:岩手の村で、70歳以上対象の公民館で演ったんですよ。そのときおじいちゃんが「毎日来て!」って言ってくれたしね(笑)。
佐々木:おじいちゃんおばあちゃんがスタンディングで拍手(笑)。
ナカムラ:もうびっくりしたね、宙を飛ぶようにCDが売れたんです(笑)。
―(爆)
清水:あのおばあちゃんもねぇ~(笑)。
ナカムラ:そうそう、多分90歳過ぎてると思うんですけど、そのおばあちゃんを70歳くらいの娘さんだろうおばあちゃんが連れて来てて、終わった後僕らの所に来てくれて、僕の顔をジーっと見て、急に、「はじめてです」って言ったんですよ。何がはじめてだかはわからなかったんですけど、そこまで生きてきてはじめての事を体験させた僕ってスゲーなって(笑)。
佐々木:女性の顔になっとったもんね(笑)。
ナカムラ:なっとったなとった、びっくりした(笑)。
―よっぽど楽しかったんでしょうね(笑)。
ナカムラ:そのおばあちゃん普段は喋らないそうで、まぁ、たまには音楽でも聴かせてあげようと思ってライヴに連れてきてくれたんでしょうね、ジーっと聴いてくれてたもんね。
佐々木:うん。
ナカムラ:そのおばあちゃんは最初から目立ってたんで、「大丈夫かな、音がうるさくないかな…」って思ってたんですよ、すると結果的に「はじめてです」をいただいて(笑)。
清水:幼稚園で演ったのもすごかったね。
ナカムラ:すごかったね。幼稚園児が『笑う花』って曲の、「僕が死んだらハイになって、笑う花を咲かせましょう…、遠まわりするのさどんな道草にも花は咲く」って歌詞を、身を乗り出して聴いてくれてるんですよ、まだ4~5年くらいしか生きてない子どもが(笑)。最初先生が「静かにしてね」って言ってたんですけど、みんなちゃんと守ってシーンとして聴いてくれてたの。
清水:盛り上がる曲ではちゃんと盛り上がって、すっごく良いお客さんでしたね。
ナカムラ:うん、めっちゃくちゃ良いお客さんだったね(笑)。でも何だろ、僕の声が怖いのかな?なんかね、子どもがシーンとするんですよ。
清水:子どもは素直に感情が出るんでしょうね。
ナカムラ:意外と子どもに好かれるんですよ、このバンド。
―意外じゃないですよ、だと思いますよ(笑)。わかりやすいというか…、言葉もわかりやすいし、音もシンプルなので子どもにも入ってきやすいんじゃないでしょうか。
ナカムラ:なるほど。僕らは素人の人に分かりやすいように音楽活動したいと思っているので、それはそうかもしれないですね。まぁこのふたつは最高齢と最小齢の話ですね。
―では最後におひとりずつメッセージを。
ナカムラ:11月23日に弟が結婚するんですよ、大名で。で、ご祝儀が足りないのでその前にライヴを演るんでよろしくお願いします(笑)。
―HP要チェックですね(笑)。
ナカムラ:はい(笑)。
佐々木:来年3月くらいにアルバムが出ます。もうほとんど録り終わってるんですが、すごく良いです。自分たちでもホントに良いものが録れたと思っていますのでよろしくお願いします。
清水:福岡はホントに良い街だと思います。都会でもあるし自然も多いし。
ナカムラ:飯が美味いよね。
清水:美味い!
ナカムラ:今も『てんぷらのひらお』に行ってきました(笑)。
佐々木『だるま』もいいよね。
清水:い~っすねぇ~。
ナカムラ:『だるま』の方がつゆがちょっと甘くて福岡っぽいよね。
清水:ね、飯もホント美味いし、程よい自然もあり子どもを育てるには良い街だなって思いますね、羨ましい所だと思います。
ナカムラ:それがメッセージ?ただ羨ましがってるだけだろ(笑)。メッセージだよ!
清水:モアリズム、愛してくださいよろしくお願いします!
ナカムラ:ストレート過ぎるな(笑)。
インタビュー;ツジゴウマユミ
artist:モアリズム title:「& BLUES」(アンド ブルース)
発売予定日:2012年3月吉日 定価予定:¥2.625(税込)
モアリズム オフィシャルホームページ
http://www.morerhythm.net/
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