メインカット (2) (C)2013「く ちづけ」製作委員会 レポート:ツジゴウマユミ PHOTO:ホムロアキカ STORY うーやん(宅間孝行)たちが暮らす知的障がい者たちの自立支援のためのグループホーム『ひまわり荘』。彼らは毎日仕事にも通いつつ楽しく暮らしている。そこへ漫画家の父・愛情いっぽん(竹中直人)と、その娘・マコ(貫地谷しほり)がやってきた。いっぽんはマコと一緒に暮らすため住み込みスタッフとして『ひまわり荘』で働き始める。やがてマコとうーやんの間に淡い恋心が生まれていく。ようやく見つけた理想の場所だったが、『ひまわり荘』には現実がやってくる。そして、いっぽんには誰にも明かせない秘密があり、その後には…。

5月25日(土)公開映画『くちづけ』。 この映画は原作・脚本・うーやん役の宅間孝行さん主宰、ex東京セレソンデラックスによる、『くちずけ』という舞台の映画化。

174 この日福岡キャンペーンに登場されたのは、 079 鮮やかな色のコートの竹中直人さん、 035_2 「本当に?」って思うくらいお顔が小さく、ふんわりとした雰囲気の中にも、 女優さんオーラが眩しい貫地谷しほりさんの登場です。 お二人はこれまでに何度も共演なさっていたり、親子役も二度目ということで息もぴったり。 会見のときも、見当が付くかなぁ~(笑)、竹中さんの照れ隠し(?)なのか、可愛いボケに的確にツッコむ貫地谷さんとの関係が見てて「うらやましいなぁ~」と思う竹中さんファンの私でした。 097 貫地谷さん演じるマコちゃんは知的障がいを持つ30歳の女性、竹中さんは『愛情いっぽん』というペンネームのかつての人気漫画家であり、人生をマコちゃんへ捧げる父役。 ー演じるにあたりグループホームへも行かれ、どう演じるか悩まれたそうですが、実際に演技をされる際心掛けられたことを教えてください。 貫地谷:今回は眉毛を生やそうと(笑)。高校2年生ぶりくらいにドッっと生やして、「なんだか懐かしい自分を見たなぁ~」という気持ちです。 グループホームへも行かせていただいたんですが、ホントに個性豊かな方がたくさんいらっしゃるので、役作りというか、選択肢がガーンっと広がってしまい、悩んで悩んで、自分のファーストシーンを撮るまでずっと悩やんでいました。でも、「撮ってしまえばこれでいくしかない!」という自分の中の覚悟で過ごしました。現場では竹中さんがいつも、ふと見るとマコちゃんのことを心配そうに見ていてくれて、とても愛情を感じながらの撮影ができましたね。知的障がいというマコちゃん…、難しいですよね。ペースがゆっくりだったりするんですが、基本的にはみんなと感じてる事も同じ、思ってることも変わらないんですよ、いっぽんの愛情もちゃんと感じてるし、現場でみなさんから出たものを受けて演じました。 竹中:僕は貫地谷さんとは随分映画でご一緒してまして、前にも親子役をやらせていただいたりしてたので、今回も何の問題もなく、何の気持ちを起こしていかなくても親子というか、自分の娘にしか見えなかったですね。マコちゃんから「いっぽん」と呼ばれると嬉しくて。だからか、楽しい現場のまま終わっていきました。 149 ―貫地谷さんから見た竹中直人さん、また、愛情いっぽんさんは、お父さんとしていかがでしたか? 貫地谷:撮影中はホントにすごい愛情をずっと感じていましたね。マコちゃんはすごい愛情をいーっぱい受けて育ったコだというのが根底にあるので、それが1番のキーワードですね。実際、私自身もうるさいくらい、しつこいくらいの愛情を家族から受けて育ったタイプなので、そこが一番のマコちゃんとの共通点だと思いながら演じてました。竹中さんはいつも現場を和ませてくださるんです。初めてご一緒したのが10年前なんですが、私のような若手であろうが、誰にでも変わらない態度で接してくださるんです。ホント素晴らしいなって思います。これまでふざけたやり取りの役が多かったんですが、今回、最後のいっぽんとマコちゃんのシーンでは、真面目なシーンを演らせていただきました。集中力の素晴らしさに圧倒されたし、私も緊張感を持って挑めたという部分もあり、「役者ってこんな風に集中力を保つんだ」というのを間近で見させてもらい、普段見ることのできない竹中さんの一面を見ちゃいました(笑)。 161 ―映画を通じてメッセージは何かありますか? 竹中:僕はあまり社会派の俳優ではないんで…、でもリアリティを持ってなきゃいけないのが役者の仕事だし…、もしこれが現実としたら僕はきっと乗り越えられないでしょうね。その思いはありますけど、僕の仕事は演じるということですから。僕はこの映画を観た印象として、社会派なのかもしれないけど、説教臭くなく一人一人の人間の物語。観た人それぞれの価値観でいろんなとらえ方があると思うので、何通りにも解釈されていくのが映画だと思っています。 貫地谷:私は本編の中のセリフにすごく衝撃を受けたし、正直、知的障がいの方の生活をよく知りませんでした。今回、いろんな現実を知りました。ニュースなんかを調べると簡単に出てくるんですよ、知らないうちに勝手に養子縁組を組まされ、自分にはお金が入ってこないなんていうことが現実にあるんだってことなんかがすごく衝撃的で、今回の映画でもそういった話が出てきます。「そういうコたちが普通に暮らせる社会を作るのが役目なんじゃないのか」と言うシーンがあるんですが、本当にそうだなって。ペースが遅かったり、テンポが違うということは個性なので、そこを尊重してあげられる世の中作りが、きっと必要だと思ったし、実際に私のように知らない方は多いと思います。今回の映画を見て、少しでもきっかけになれればいいと思うし、そこでどう行動するかというのは人それぞれだと思うし、「観たから何かを始めなくちゃ」っていうことはないですが、でも、これは特別な話ではなく、現実にあるんだということを感じていただければと思います。 サブカット2 (2) (C)2013「く ちづけ」製作委員会 作品を観たスタッフからの ”Humming Pig Recommend” ◆ツジゴー:人間の良いところ、ステキなところ、悪いところ、思い知らされました。 すごく笑えて、ものすごく泣けるいっぽんです。 ◆おちよ:めちゃくちゃ泣きました。 心にグサッと突き刺さりました。 すぐ側で起こりうる事なのに他人事として通り過ぎてないかと…。 「知る」「理解」する努力を忘れてはいけないと強く感じさせてくれました。 『くちづけ』 5月25日(土)公開 http://www.kuchizuke-movie.com 原作・脚本:宅間孝行 監督:堤幸彦 出演:貫地谷しほり/竹中直人/宅間孝行 田畑智子/橋本愛/岡本麗/嶋田久作 麻生祐未/平田満 他 主題歌:『グッド・バイ・マイ・ラブ』熊谷育美 公開劇場:T・ジョイ博多 他