津軽三味線ブームを巻き起こしたその吉田兄弟が、昨年2009年にデビュー10周年を迎え
来週、福岡で10周年記念コンサート「三味線だけの世界」をおこないます。
ステージには吉田兄弟二人と、三味線二丁だけで、 原点回帰のような内容になるということで、
いつも以上に三味線の生の音を感じられるコンサートとなるそうです。
そのお二人が先日福岡にやってきました。10周年の思いやコンサートについてお話をお伺いしました。
◆どんなコンサートになりますか?
今回は、僕たち二人と三味線二丁だけということで、原点に帰ったような内容になります。
津軽三味線は“荒波”“吹雪”など、そういうイメージが付いている人も多いと思いますが、それだけではないと感じています。
例えば“優しい”とか“かわいい”とか、いろんな表現ができる楽器だと信じています。
そして10年間やってきて、それがどんどん確信に変わってきました。
今回原点に帰って、改めて日本や三味線の素晴らしさを感じてもらえるコンサートにしたいと思っています。
また、 三味線だけの世界はシリーズでいうと今回で3回目です。
コンセプトは『三味線の生の音色を届けたい』ということから始まりました。
「三味線だけでどこまで出来るのか〜限界への挑戦」という、大きなテーマはあるのですが、
今回は約2時間二人だけでやるので、裸の音を見て聞いてもらえるし、それに映像とのコラボも今回は入っているので、ただの原点回帰というよりかは、新たな挑戦を見て頂けると思います。
◆三味線は体力をものすごく使う楽器ですが、二人だけということで今回はより大変ですね。
正直、修行のような感じです。バンドアレンジのものを二人バージョンでアレンジするので、常に弾いておかないといけないことになります。ただ今回は映像を入れていて、10周年ということもあり、写真を見ながらのトークタイムもあるので、構成をいろいろ考えています。だけど曲数的にも今回は多いので、かなり盛りだくさんな内容になると思います。
◆10周年ということで、新たにチャレンジされることはありますか?
ソロのパートが増えています。元々津軽三味線はソロ楽器ですから、魅せ方のひすいは大きくなってると思います。10年やってきてお互いのカラーがはっきり出てきてますから、それをすごく感じてもらえるコンサートになると思います。でも二人で重なると吉田兄弟の色になるというのも見てもらいたいです。
◆兄弟ということで人生の中でも一番長いパートナーだと思いますが、10年やってきてお互い「変わったな」というところはありますか?
健一さん(弟):兄は民謡酒場や三味線の伴奏をずっと勉強していたので、セッションや作曲などの対応能力はどんどん出てきてるんじゃないかと思います。
良一郎さん(兄):弟は…変わっていませんね(笑)。三味線のプレイもピークがありまして、だいた18歳くらいが一番テンポよく押せ押せでリズムを刻める年齢なんです。だけど体力と同じように年齢を重ねると衰えてきますが、弟はそれを維持してるので変わっていないなと思います。
健一さん(弟):維持する努力はしてますね。練習量も高校時代より増えました。
◆三味線の魅力は?
津軽三味線は、実は譜面がありません。アドリブ性の強い楽器なので、自分のカラーを曲に込めることができます。
だからどんどん作っていけるし、時代と共に変化していける楽器です。
なので、まだまだ新しい扉をどんどん開いていける。だから魅力的だと思います。
最近MONKEY MAJIKやEXILE、DAISHI DANCEとのセッションを見てもらって、みなさんも「“和”ってかっこいいな」と少しでも感じてくれてると思います。それが一番大切なことです。
「和だから」とか「ジャンルが違うから」と言うのは古いと思います。ひとつの楽器の世界として、どこまでできるのかということを今示すべきだと考えています。
◆海外から見た三味線のイメージは?
海外を回っていると、反応が国々違って面白いです。
まずアメリカはジャズだと思います。津軽に近いですね。自由に拍手だったり声をかけてくるんです。そこがやっぱり自由で楽しい国だなと思います。
ヨーロッパはクラシックよりで、曲中はシーンとしています。ほぼ反応がありません。終わってから拍手が起こるので、じっくり聞くタイプの方が多いです。
アジアは、客層がやけに若い!20代の方からいるし、ペンライトを持ってきてる人もいます。インターネットで聞いて口づさんでる人もいましたし、台湾には津軽三味線同好会があったりもします。実際三味線持ってきて「サインください」と言われました。アジアとの距離感が縮まってる感じがします。
福岡のお客さんは、反応がアメリカっぽいですね!
◆子どもたちに楽器を教えていらっしゃいますが、子どもの反応や、またお二人が子どものときと、今の子どもとの違いはありますか?
良一郎さん(兄):ソロ活動で学校を回っています。反応はすごくいいです。楽器も触れる体験コーナーもしています。子ども達からは「おもしろい」「かっこいい」「イメージと全然違う」と言われます。
健一さん(弟):僕らが子ども時代にやっているときは、三味線がすごく嫌でした。中学校に上がるとき、二人で「辞めようか」という話も出たほどです。とにかく嫌で恥ずかしいという感じが先攻していました。
当時民謡ブームが若干残っていたので、テレビでも日曜日の朝に民謡番組が放送されていました。
三味線は年功序列の世界なので、出てくるのは年配の人ばかり…。若い人がいても出てこれない…。だけど、僕たちの師匠もその後変わり、全国大会に出るようになったとき、初めて若い世代がいることを知ってから火がつきました。
今の子どもたちは民謡ブームがない中で育ってますから、知識が逆にない状態です。だから、全部ストレートに伝わるので、その分僕らの責任もたくさんあると思います。間違った伝え方をしちゃいけない。
ただ、みんな誰でもできる身近な楽器なんだよ、っていうことを感じてもらうことが第一です。
良一郎さん(兄):子どもたちに教えるとき、始まるまで先生たちが不安になるくらいすごく騒いでいるのですが、始まったらみんな真剣で騒ぐ子は一人もいません。体験コーナーもみんな笑顔だし、初めて三味線に触れるのに「さくらさく」が弾ける子もいるくらいです。教える事は続けていきたい。
三味線の伝統的な部分と、これからの新しい部分の可能性を子どもたちに見せていけたらいいなと思っています。
◆子どもたちが三味線を長く続けるには?
子どもが、と言うより、親が一緒に頑張れるかどうかだと思います。ただやらせるんじゃなくて、親の熱意が子どもたちに伝わるかどうかだと思う。僕たちが辞めたいと思っていても簡単辞めると言えなかったのは、両親の熱意が強かったので、簡単に辞めると言えませんでした。子どもと一緒に親も頑張ることが大事だと思います。
吉田兄弟 http://www.yoshida-brothers.jp/
福岡公演は9月13日アクロスシンフォニーホールにて。
残念ながら未就学児は入場できませんが、小学生以上のお子様をお持ちの方は是非。
吉田兄弟 10周年記念公演「三味線だけの世界」
●2010年9月13日(月)開場18:30/開演19:00
●会場:アクロス福岡シンフォニーホール
●入場料:全席指定 S席 6,000円 A席 5,000円(税込)
●お問い合わせ:ピクニック 092−715−0374 http://www.picnic-net.com
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