—長年、絵本やむかし話の読み聞かせをなさってると思いますが、朗読をするときのコツみたいなものはありますか?
常:そうですね、いちばん大事なのは読みながら自分の声を自分で聞くということ。これはとても大事だと思います。
声に出しながら、自分の声は「あ、今どこを向いてる」とか、「今はこのくらいの人たちに聞こえてる」とかね。
あとは目線というのもものすごくすごく大事。相手と向かい合う。相手との距離感をしっかりわかっておくといいですね。
物語の中で感じたモノを、しっかりと自分の声で伝えるということ。それが大事かな。そうするとスピード感や間がだんだん掴めてくると思いますよ。読み聞かせというのは自分のためでもあり、聞いてくれる人にも感じ取ってもらう作業だからね。
人と人が向かい合う交流というのは、それが楽しい作業なわけだし。まぁとにかくたくさん本を読む。読んであげるということ。そういう機会をたくさん作ってみてください。
—ご自分の子育てエピソードなどありますか? 例えばお子さんが小さかったときに読み聞かせなどなさってたとか?
常:自分の子どもが小さかったときは僕も若かったし、とにかく仕事が忙しくて時間の余裕もなかったから、なかなかそんな時間が取れなかったんですよね。我々の仕事(俳優)というのは、時間が読めないし、不安定な生活なんですよねぇ〜。だからやっといろんな事が落ち着いたのが、子どもが結婚して孫が生まれたころ。だから孫にはいろんなお話をたくっさん寝床で読んであげましたよ(笑)。とくにそのころ、毎週火曜日に(『にほん昔ばなし』の)収録があってたんで、金曜日に新しい(『にほん昔ばなし』の)台本が送ってきて、孫がだいたい土曜日の夜に泊まりに来てたんで、まず孫に読んできかせて面白いか面白くないか反応を見てましたね。子どもって本当に(読んであげたときの)反応がわかりやすいんですよねぇ〜。だからその反応を参考にして毎週続けてましたね。
—いい審査員ですね(笑)。それにお孫さんはやっぱり可愛いですよね。
常:(笑)触れ合う? スキンシップみたいなものが大事かなって思いますよ。やっぱり自分の子どもが小さかったときは自分の生活に精いっぱいだったこともあったし、いろいろやってあげられなかった事がたくさんあって、それが孫になったら少しは時間が取れるようになり、人並みに、やっぱりそういうこと(読み聞かせなど)に憧れてましたから。今は家族制度というか、家族が輪になっている人ももちろん多いとは思いますけど、バラバラな生活をしてる人たちが多いですからね。
—核家族化ということでしょうか。
常: そうですねぇ〜…、僕らが小さかったころは何世帯もが一緒の大家族の中で育ってきましたから、そういう昔ながらのものがだんだん分散されてきてるんですねぇ…、贅沢になってきてるっていうのかな。何となく繋がりというのが薄くなってきてる気がしてね。最近よく言うじゃないですか? そういう繋がりなんかを絆、絆って。
—さみしい気がしますね。
常:そうですねぇ〜。
—では最近の若いお父さん、お母さんたちにメッセージをいただけますか。
常: (20秒くらい沈黙…)…、日ごろ子どもの目や顔をしっかり見てあげてください。良いとか悪いとかをすぐに決め付けて言わないようにしてあげてください。他人に対して良い悪いを言うのを僕はあんまり好きじゃないんですよね。人間、良いところもあれば悪いところもあるんだからさ(笑)。
—ですよね(笑)。
常:自分でもそんな余裕を持ちたいよなぁ〜って、いつも思ってるけどなかなかね(笑)。やっぱり余裕のある目で相手の目、目付き、子どもの姿をちゃんと見てあげられる親でありたいし、いてほしいと思います。
—そうですね、やっぱり自分にも余裕がないと…。
常: そうですよ。やっぱり相手を大事にする。思うところから始まりますよね。そうすると相手も自分のためにちゃんと思ってくれます。だから自分のことばかり考えてると相手との関係もだんだん冷たくなるんです。まぁ、見返りが欲しくてやるわけじゃないけど(笑)、これでOKじゃないかと僕は思うんですけどね。やっぱりそれが関係が上手くいく秘訣じゃないでしょうか。僕はこれを心掛けてますよ。
—私も心掛けてみます!
常:年取れば取るほど子どもと触れ合いたくなるもんなんですねぇ〜。子育てしてた年のころは自分のことや仕事に夢中だったし、子供よりも面白いモノもあったりして(笑)、なかなか思う様に接してあげられなかったから…、そんな気持ちも『にほん昔ばなし』に込めて伝えられたんだろうなぁ〜って思います。
そして、最近の核家族という家の中で、子どもと向かい合う時間の多いお父さんお母さん。じいさんばあさんたちは子どもというか、孫にとても会いたがってますから(笑)、その中に入って取り持つ働き盛りのお父さんお母さんたちが、それをうまくやってもらえたら嬉しいなと思いますね。
インタビュー:ツジゴウマユミ
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